つながる元気、ときめきキャンパス。大阪大学生活協同組合
<教員>11月のおすすめ本
★おすすめ本★ 書評


ISBN: 9784065117187
書名: 小説はたらく細胞
著者: 時海結以
出版社: 講談社
本体価格: 680円

(1)『小説はたらく細胞』 時海結以 著

擬人化されたヒト体内の細胞(赤血球・白血球・血小板等)の活躍を描いた、今注目の作品です。同タイトルの漫画「はたらく細胞」の小説版となっております。

 本書は、専門外の人にも分かりやすいだけでなく、それぞれのキャラクター(細胞)の特徴や働きを、可能な限り科学的根拠に基づいて描写している点が好評で、実際に海外も含め、教育現場の資料としても使われだしています。公式HPでは、教育機関・医療施設向けにイラストの素材提供も行われておりますので、興味を持たれた方はぜひ参考にしていただけたらと思います。https://hataraku-saibou.com/special/content_download/

 本書では、様々な役割を持っている各細胞を、人間の世界における各職業の人々に例えながら説明しています。例えば、酸素や二酸化炭素を運ぶ赤血球は、血管の中を行き来する宅配業者、といった形です。外部から侵入してくる病原体(細菌やウイルス)への対処の仕方にも触れられており、感染症の勉強もすることができます。

 随所に挿絵が入っていて読み進めやすく、漫画版よりも多い情報量、宿主側の記載も新たに追加されるなど、漫画版を読んだことがある人にもオススメです。



ISBN: 9784061547759
書名: 絵でわかる感染症withもやしもん
著者: 岩田健太郎
出版社: 講談社
本体価格: 2,200円

(2)『絵でわかる感染症withもやしもん』 岩田健太郎 著

「もやしもん」とは、肉眼で微生物を見ることができるという不思議な能力をもつ主人公を中心に、農業大学の学生生活を描いた有名漫画のタイトルです。本書では、この漫画に出てくる各微生物の特徴をうまくデフォルメしたキャラクターが多く用いられており、ともすれば難解で敷居が高く感じてしまう感染症の専門書を、一般の方でも読んでみたいと思えるレベルに落とし込んでいます。

 さらに、そもそも微生物とはなにか、抗微生物薬(抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬を含む)とはなにか、といったところから、各感染症の症状や各薬の作用メカニズム、各病原体への対処法まで網羅した充実の内容となっており、基礎知識がなくても理解しやすい、非常に良い入門書となっています。また、私の専門である抗菌薬が効かない病原菌「薬剤耐性菌」に関しても、薬剤耐性メカニズムの種類や、抗菌薬の適正使用の重要性について、簡潔に述べられています。

 漫画「もやしもん」は、すでに2014年に連載を終了しているため、現在の学生の認知度は少し下がっているように思いますが、微生物について楽しく知ることができる良い作品ですので、興味を持たれた方はこちらもぜひ読んでみてください。



ISBN: 9784065020500
書名: 世界を救った日本の薬
著者: 塚ア朝子
出版社: 講談社
本体価格: 1,080円

(3)『世界を救った日本の薬』 塚ア朝子 著

 ノーベル賞を受賞された本庶佑先生の、がん免疫療法剤オプジーボ(ニボルマブ)についても取り上げられている、今オススメの一冊です。

 本書は、2018年10月のノーベル生理学・医学賞の発表前である、2018年3月に出版されているのですが、今後の抗がん剤治療への思いや、日本における産業化の課題等に関する、本庶佑先生のインタビューがしっかり掲載されていることにも注目です。オプジーボの項では、ターゲット分子であるPD‐1の発見から薬が世の中に出るまでの22年における、研究の進展および産業化の経緯に加え、オプジーボに代表される免疫チェックポイント阻害薬の作用メカニズムについても、詳細かつ分かりやすく理解することができます。

 他にも、2015年に同じくノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生の抗寄生虫薬ストロメクトール(イベルメクチン)や、富山大学 白木公康先生が開発した新型インフルエンザとエボラ治療の切り札と期待されているアビガン(ファビピラビル)等、計14種の薬が取り上げられており、日本人研究者が関わった有名な薬について数多く知ることができます。今後ノーベル賞を受賞される先生の薬も含まれているかもしれませんので、本書を読んだ後は、毎年10月のノーベル賞受賞者発表の時期を、また違った気持ちで迎えることができるでしょう。 



ISBN: 9784840749091
書名: 王子様のくすり図鑑
著者: 木村美紀
出版社: じほう
本体価格: 1,600円

(4)『王子様のくすり図鑑』 木村美紀 著
      
お子さまがおられる方、病院から出された薬のことを簡単に知りたい方に、非常にオススメな絵本のような本です。

 ヒトが使う薬と、病気の原因となる病原体との戦いを、綺麗なイラストとともにRPG形式で説明しています。一例を挙げますと、タミフルやイナビルといった抗ウイルス薬の名前の付いた魔法使いが、世界(人体)を救うために、モンスターの形をしたインフルエンザウイルスを退治している、といった形です。また、各種ウイルスとそのワクチンのキャラクターは、お互いに非常に似たデザインとなっており、病原体を無毒化・弱毒化したものがワクチンであるということを、直感的に理解しやすくなっています。

 私自身も、幼稚園に通っている自分の子どもに読んであげていますが、細かい内容はまだ分からなくても、せきや熱などで辛い病気になるのは、実際には目では見えない怖い生き物(ウイルスは生物ではないとされていますが)の仕業であることは理解できているようです。

 ページ数の問題もあり、あらゆる薬・病原体を網羅することはできておりませんが、小児科等で処方されるなじみのある薬の多くを学ぶことができます。薬と病原体の両方をうまくキャラクター化している珍しい作品ですので、ぜひ手に取っていただきたいと思います。        



ISBN: 9784065109106
書名: はたらく細菌 1
著者: 吉田はるゆき
出版社: 講談社
本体価格: 590円

(5)『はたらく細菌 1』 吉田はるゆき 著 

本書は主におなかの中、近年注目されている腸内細菌・腸内フローラ(腸内細菌叢)をテーマとしています。タイトルからも分かるように、「はたらく細胞」の著者が監修している公式スピンオフ作品となっています。

 私たちのおなかの中(腸内)では、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が自分の仲間を増やそうと、日々せめぎ合っています。本書ではこの戦いを、各々の菌が放出する各種成分をビームやバズーカなどの武器、人間の食べ物に含まれる各成分を支援物資として表現することで、擬人化された細菌達による陣取り合戦に例えて説明しています。

 腸内細菌同士の戦いのほかに、腸内細菌の重要な役割である外敵(病原菌)との戦いや、おなかの中だけでなく、皮膚に存在している細菌についても触れられており、ヒトと共に生きている常在菌を広く知ることができます。

 私たち人間にとって、自分の家族よりも身近(距離的に)な自分以外の生物について、深く考えさせてくれる一冊です。各菌が好む食品についても記載があるので、腸活に興味がある方にもオススメです。



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▼ 2018年11月の担当教員 ▼
山崎聖司先生


山崎聖司(やまさき せいじ)先生プロフィール

大阪大学 薬学部および薬学研究科の基幹分野に準ずる研究室に所属しており、私自身、薬学部の学生の時から、同研究室で細菌に関する研究を進めています。

具体的には、抗菌薬が効かない病原菌「薬剤耐性菌」の薬剤耐性メカニズム(主に薬剤排出ポンプ)の解析とその阻害剤の開発、近年注目されている「腸内フローラ」をより活用するためのセンサーやサプリメントの研究等を行っています。
研究者情報:https://researchmap.jp/yamasakiseiji

ヒトに有害な菌と有用な菌、両者の研究をしている関係で、現在、ヒトと全ての細菌とのより良い共存・共生関係の構築を目指す新たな学問、「細菌共存学」分野の開拓と発展を進めています。
細菌共存学研究会:https://sfcwb.jpn.org
大阪大学生活協同組合 TEL:06-6841-3326(代)