2025.01.10 今月のおすすめ書籍(2025年1月)

 

おすすめ新刊紹介「文庫」

彼女の名前は

出版社 筑摩書房
発刊日付 2025年1月14日
著者 チョ・ナムジュ 小山内園子 すんみ
本体価格 946円(本体860円+税)
ISBN 9784480439987
未来のために、「次の人」のために立ち上がる女性たち、28の物語。セクハラにあった女性が闘い続ける理由とは?推し活で届けたい言葉とは?地下2階の部屋に住む女子生徒の悩みとは?文庫版のための著者メッセージも収録!日韓累計165万部突破の『82年生まれ、キム・ジヨン』の次作短編集。文庫解説=桜庭一樹、解説=成川彩 推薦文=王谷晶、伊藤詩織

 

おすすめ新刊紹介「新書」

手段からの解放

出版社 新潮社
発刊日付 2025年1月17日
著者 國分功一郎
本体価格 968円(本体880円+税)
ISBN 9784106110726
「楽しむ」とはどういうことか?『暇と退屈の倫理学』にはじまる哲学的な問いは、『目的への抵抗』を経て、本書に至る。カントによる「快」の議論をヒントに、「嗜好=享受」の概念を検証。やがて明らかになる、人間の行為を目的と手段に従属させようとする現代社会の病理。剥奪された「享受の快」を取り戻せ。「何かのため」ばかりでは、人生を楽しめない――。見過ごされがちな問いに果敢に挑む、國分哲学の真骨頂!

 

アメリカ・イン・ジャパン──ハーバード講義録

出版社 岩波書店
発刊日付 2025年1月17日
著者 吉見 俊哉
本体価格 968円(本体880円+税)
ISBN 9784004320487
一八五四年、日本人に映る世界の見え方は一八〇度転換した。アメリカ人はこれを「ペリー提督の遠征」というが、私たちは「黒船来航」と呼んだ。同様に一九四五年の米軍がおこなった「空爆」を、日本人は「空襲」と呼ぶ。さまざまな出来事や事象を、日本、アメリカそれぞれのまなざしの下にとらえ「日本の中のアメリカ」に迫る。

 

おすすめ新刊紹介「一般書」

あえのがたり

出版社 講談社
発刊日付 2025年1月22日
著者 加藤シゲアキ 今村翔吾 小川哲
本体価格 2,200円(本体2,000円+税)
ISBN 9784065378762
2024年元旦、能登半島を襲った大地震によって多くの人が傷つけられました。
残念ながら、小説を読むだけでは暖を取ることも、おなかを満たすこともできません。
ですが、いつか、魂を励まし、心に寄り添える力が物語には宿っていると信じています。
奥能登地域の農家では、古くから稲作を守る“田の神様”を祀り、感謝をささげる「あえのこと」という儀礼が行われてきました。
「あえ=おもてなし」、「こと=祭り」をあらわします。
物語によるおもてなし「あえのがたり」のために集まったのは、今、もっとも新作を待たれている10人の小説家。
10人の作家による、1万字の物語によるおもてなしをご堪能下さいませ。

 

おすすめ新刊紹介「人文書」

平等について、いま話したいこと

出版社 早川書房
発刊日付 2025年1月
著者 トマ・ピケティ マイケル・サンデル 岡本麻左子
本体価格 2,200円(本体2,000円+税)
ISBN 9784152104014
資本主義の果て、大いなる格差に覆われる現代。教育やヘルスケアを「脱商品化」するには?左派はなぜ世界的に弱体化したのか?大学入試や議会選挙にくじ引きを導入すべき?当代一の経済学者と政治哲学者が相まみえ、真の「平等」をめぐり徹底的に議論する

 

おすすめ新刊紹介「理工書」

p進解析入門: p進数からゼータ関数まで

出版社 丸善出版
発刊日付 2025年1月31日
著者 二―ル・コブリッツ(著) 長岡 昇勇 (翻訳)
本体価格 5,500円(本体5,000円+税)
ISBN 978-4621310687
本書は,できるだけ少ない予備知識で読めるように考慮されたp進解析の入門書である.
本書での取り扱いにおいて,p進解析のいくつかの基本的アイデア,すなわちQpの代数拡大へのp進絶対値の拡張,複素数体のp進類似の構成,p進べき級数の理論の展開などは,通常の解析学の身近な概念や例との対比が強調されている.また,教育上効果的でもありこの分野への関心を刺激するような顕著な応用である,ゼータ関数のp進的性質に関する久保田-レオポルトのp進ゼータ関数の理論や,合同ゼータ関数の有理性に関するドゥオークの定理なども提示されている.
p進解析は古典解析学を学んだばかりの学生にとって興味深い視点を提供してくれるのみならず,p進的手法が数論や表現論など数学的研究の多くの分野で重要な位置を占めている今日,代数と数論に足を踏み入れている学生に対しても,貴重な視点を提供するであろう.

 

ストリング図で学ぶ圏論の基礎

出版社 森北出版
発刊日付 2025年1月22日
著者 中平健治
本体価格 4,950円(本体4,500円+税)
ISBN 9784627063716
◆圏論を視覚的に理解する◆
抽象化が進み、数学的構造が複雑な圏論の概念。
その構造をストリング図で表すことで、数式だけではつかみづらい概念を視覚的に理解できるようになります。
本書では、自然性や普遍性といった基礎からはじめ、随伴、極限、カン拡張といった圏論の主要な概念を、ストリング図を用いて解説していきます。
豊富な演習問題については、森北出版Webサイトで詳細解答を公開し、ストリング図を使いこなせるようになるまで手厚くサポート。
圏論をはじめて学ぶ人、他書で挫折した人だけでなく、ひととおり習得し終えた方にとっても、新たな視点や理解を得られる一冊です。

 

改訂 独習Pythonバイオ情報解析〜生成AI時代に活きるJupyter、NumPy、pandas、Matplotlib、Scanpyの基礎を身につけ、シングルセル、RNA-Seqデータ解析を自分の手で (実験医学別冊)

出版社 羊土社
発刊日付 2025年1月30日
著者 先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム(編集)
本体価格 7,150円(本体6,500円+税)
ISBN 9784758122788
Pythonの定番テキストが待望の改訂!大規模データの取り扱いや図による可視化など汎用的なPythonの使い方から,シングルセル,RNA-seq解析までバイオインフォマティクスの基礎が身につきます.サンプルデータとコード見本付きで,今日から実践しながら学べます.改訂では,生成AIの活用方法やScanpyの詳細な解説を加筆し,各種ライブラリのアップデートに対応しました.
【目次】
改訂にあたり
はじめに(初版)
第1章 この本の使い方と事前準備
第2章 生成AIを用いたプログラミング
第3章 Jupyter Notebookの使い方
第4章 Python速習コース
第5章 文字列処理の基本 〜ファイルの読み書き,正規表現
第6章 Biopythonを用いた塩基配列データの扱い方 〜オブジェクト指向入門
第7章 pandasはじめの一歩 〜表形式データの扱い方
第8章 RNA-Seqカウントデータの処理 〜pandas実践編
第9章 データの可視化 〜Matplotlib,Seabornを用いたグラフ作成
第10章 統計的仮説検定 〜RNA-Seqデータを用いた検定の基本からモデル選択まで
第11章 シングルセル解析(1) 〜テーブルデータの前処理
第12章 シングルセル解析(2) 〜次元削減
第13章 シングルセル解析(3) 〜クラスタリング
付録A NumPy入門
付録B Scanpyを使ったシングルセル解析

 

重点解説 モンテカルロ法と準モンテカルロ法

出版社 サイエンス社
発刊日付 2025年1月23日
著者 鈴木 航介 (著), 合田 隆 (著)
本体価格 2,530円(本体2,300円+税)
ISBN 9784781916231
今日では,自然科学,工学全般,機械学習・深層学習を含む統計学,数理ファイナンス,グラフィックス,オペレーションズ・リサーチなど多様な分野でモンテカルロ法・準モンテカルロ法が使われている.本書では,モンテカルロ法・準モンテカルロ法を理解し,使えるようになることを目指す.
【主要目次】統計的推定とモンテカルロ法/乱数生成/分散減少法/マルチレベルモンテカルロ法/準モンテカルロ法の理論/再生核ヒルベルト空間/準モンテカルロ法 ― 格子/準モンテカルロ法 ― デジタルネット/いくつかの応用

 

マルチンゲール
測度論の概観からスパース推定の基礎まで(統計学One Point 27)

出版社 共立出版
発刊日付 2025年1月14日
著者 西山陽一
本体価格 2,530円(本体2,300円+税)
ISBN 9784320112780
統計学は学際的な学問分野であり、中でも確率論とつながる側面ももっている。統計理論の発展のために、確率論をはじめとする数学のさまざまな分野から新技術が導入されることが重大な契機となったことはこれまでにもしばしばあった。そしてマルチンゲールは、確率論の中の最重要テーマのひとつである。それが統計学に大きく貢献した例は、生存解析における計数過程アプローチや、数理ファイナンスにおける拡散過程に基づくモデリングなど、枚挙にいとまがない。
本書では、マルチンゲールに関する二つのテーマを扱う。
一つ目として、マルチンゲールの基本事項をまとめつつ、マルチンゲール収束定理の証明を、J.L. Doobによるオリジナルなアプローチとは異なる方法で解説している。まず第2章でいくぶん推理小説風に問題提起し、新鮮味のある軽快な謎解き風の記述を経て、第4章ですべての謎に対する明快な解答を与えている。多くの初学者にとって、本腰を入れてマルチンゲールの研究を始めていただく契機となることを願って本書を執筆している。
二つ目のテーマとして、「確率的最大不等式」という新しいツールを第5章で紹介し、それを第6章でスパース推定に応用している。本書の出版により、高次元統計学にあたらしい風を吹き込み、同分野にあたらしい研究者をいざなうことができれば、筆者としては至高の喜びである。
本書は読者がルベーグ積分論をひととおり勉強されたことを想定しているが、実際にはむしろ「勉強したことはあるのだが、砂を嚙むようでわからなかった」という方々を読者として歓迎するため、測度論の概観を付録に記載している。
内容の理解度を確認できるようにいくつかの演習問題および解答例も掲載している。

 

改訂版 入門確率過程

出版社 東京図書
発刊日付 2025年1月11日
著者 松原 望 (著, 編集), 山中 卓 (著), 小船 幹生 (著)
本体価格 3,520円(本体3,200円+税)
ISBN 9784489024313
確率過程の「学び」をわかりやすく、面白く、ためになるものにしたい。これが本書が生まれたいきさつである。
そのためには実例、数値例を多くし、わかりやすい解説(ときにはやさしすぎるかもしれない)と基礎的な実用例を多く登場させ、細事はこの際さておき、骨太で自然体のわかりやすさを重くみた。
実例には、経済の例などを用いて社会人のニーズにこたえようとした。
20年振りの改訂では章末問題(ワンポイント練習)やファイナンスの章を新たに設けるなど、内容がさらに充実。
もくじ
第1章 確率の基本
第2章 確率変数と確率分布
第3章 いろいろな確率分布
第4章 多次元確率変数
第5章 独立確率変数とその応用
第6章 ランダム・ウォーク
第7章 極限定理の基礎
第8章 ブラウン運動とマルチンゲール
第9章 確率積分と伊藤の公式
第10章 ファイナンス数理入門
第11章 信用リスク評価入門

 

凸多面体と計算

出版社 共立出版
発刊日付 2025年1月30日
著者 福田 公明 (著), 森山 園子 (著), 高山 信毅 (編集)他
本体価格 4,070円(本体3,700円+税)
ISBN 9784320115224
多面体計算は、1980年代後半から始まった比較的新しい研究分野であるが、一般次元の凸多面集合に関連する様々な問題を対象としている。
本書は、凸多面体の古典的な結果に加え、計算量理論とアルゴリズム設計の両方の観点から、多面体計算における基本的かつ発展的な手法を解説する書籍である。
多面体の双対性、Eulerの関係、シェラビリティー、McMullenの上限定理、Minkowski-Weylの定理、超平面アレンジメントの面数公式など、順々に解説していく。
多面体計算の研究においては、医学、工学を始めとする様々な分野に現れる多面体的構造の解析が本質的な問題解決をもたらしてきたこともあり、多面体計算の有用性は様々に確かめられてきた。そのような意味で未知の可能性を秘めていると言える多面体計算を学ぶのに好適な書と言えるだろう。

 

衡統計物理 (基本法則から読み解く物理学最前線 33)

出版社 共立出版
発刊日付 2025年1月14日
著者 須藤彰三,岡真,早川尚男
本体価格 2,640円(本体2,400円+税)
ISBN 9784320035539
本書で対象とした粉体は、専ら工学、農学、薬学の対象であり、理学の中でも地学の対象と思われてきた。しかし1990年頃から、内外で粉体を物理学の対象とし、その統計力学や連続体力学を構築しようという機運が盛り上がってきた。本書はその成果を、専ら動きの学問であるレオロジーという観点からまとめて紹介したものである。
本書の前半では、連続体力学の基礎、レオロジーの一般論、液体論の基礎を手短に紹介する。この前半部分の予備知識は教養レベルの連続体力学と初等統計力学である。
後半で、粉体が固体的状態にあるときのレオロジー、粒子がばらばらに気体のように動く際の運動論、一種の固液相転移であるジャミング転移について、最近の研究成果に基づき、粉体の非線形レオロジーの最前線を紹介する。
これらの内容を1冊の本で一貫したストーリーで語った本書には、洋書も含めて類書は見当たらない。

 

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