2025.06.30 今月のおすすめ書籍(2025年7月)
おすすめ新刊紹介「文庫」
文庫版 近畿地方のある場所について

出版社 | KADOKAWA |
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発刊日付 | 2025年7月25日 |
著者 | 背筋 |
本体価格 | 880円(本体800円+税) |
ISBN | 9784041026557 |
収録されているテキストは、様々な媒体から抜粋したものであり、
その全てが「近畿地方のある場所」に関連している。
なぜこのようなものを発表するに至ったのか。
その背景には、私の極私的な事情が絡んでいる。
それをどうかあなたに語らせてほしい。
私はある人物を探している。
その人物についての情報をお持ちの方はご連絡をいただけないだろうか。
※単行本とは内容が異なります。ご了承ください。
おすすめ新刊紹介「新書」
日本終戦史1944-1945
和平工作から昭和天皇の「聖断」まで

出版社 | 中央公論新社 |
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発刊日付 | 2025年7月23日 |
著者 | 波多野澄雄 |
本体価格 | 1,210円(本体1,100円+税) |
ISBN | 9784121028679 |
おすすめ新刊紹介「一般書」
翠雨の人

出版社 | 新潮社 |
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発刊日付 | 2025年7月30日 |
著者 | 伊与原新 |
本体価格 | 1,980円(本体1,800円+税) |
ISBN | 9784103362159 |
『藍を継ぐ海』で科学の壮大さとあたたかさを伝えた著者による直木賞受賞第一作。
蛍たちの祈り

出版社 | 東京創元社 |
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発刊日付 | 2025年7月22日 |
著者 | 町田 そのこ |
本体価格 | 1,980円(本体1,800円+税) |
ISBN | 9784488029296 |
蛍が舞う夜――山間にある小さな町に暮らす中学生の坂邑幸恵と桐生隆之は、どうしようもない状況に追い込まれ、互いの罪を隠し合う共犯者となった。それから十五年後、大人になった二人が再会したことをきっかけに、二人とその周囲の人生が大きく動き出す。同僚として、友人として、家族として……ぬぐい切れぬ「罪」の記憶に翻弄されながらも、真摯に生きた人々にあたたかなまなざしを注ぐ感動の傑作長編。
おすすめ新刊紹介「人文書」
到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学

出版社 | 書肆侃侃房 |
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発刊日付 | 2025年7月11日 |
著者 | 渡邊英理 |
本体価格 | 2,640円(本体2,400円+税)(予価) |
ISBN | 9784863856783 |
雑誌『サークル村』に集った石牟礼道子、中村きい子、森崎和江が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、『中上健次論』が話題を呼んだ著者が「思想文学」の視点で読み解く渾身の書。
「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」(渡邊英理)
・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。
・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。
・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。
おすすめ新刊紹介「理工書」
フーリエ解析

出版社 | 飛翔舎 |
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発刊日付 | 2025年7月15日 |
著者 | 村上 雅人 (著), 安富 律征 (著), 小林 忍 (著) |
本体価格 | 2,860円(税込)(本体2,600円+税) |
ISBN | 978-4910879215 |
本書では、物理現象である波を“どのように三角関数の級数に展開するか”を基本に、フーリエ解析の手法と、その応用をくわしく解説する。
フーリエ変換の変数変換という機能によって、解法困難な微分方程式が解法できることも理解できる。
19世紀にフ ーリエが発見したフーリエ級数の手法は、フーリエ変換を通して量子力学などの最先端分野へも拡がっていることもわかる。
もう一歩先へ進みたい人の 化学でつかえる線形代数

出版社 | コロナ社 |
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発刊日付 | 2025年7月1日 |
著者 | 北條 博彦 (著) |
本体価格 | 3,740円(税込)(本体3,400円+税) |
ISBN | 978-4339061338 |
教授:「ええ,でも『化学で閊(つか)える線形代数』ともかけてるんですよ」
学生:「あー,ダジャレなんですね。それにしても“閊える”ってすごい字ですね,門の中に山って」
教授:「しかも,困難を乗り越える“Hurdling”と,使いこなす“Handling”もかけてるんです」
学生:「あー,はいはい。でも線形代数って化学に必要なんですか?」
教授:「話すと長くなるけれども,・・・(以下略)」
本書は化学を専攻している人の視点で書いた線形代数の本です。化学ではいろいろな問題に出会いますが,その中には線形代数的な要素を隠しもったものがたくさんあります(特に化学系の学生にとって,量子化学のつまづきは,ほぼ線形代数部分でのつまづきです)。本書ではその中から代表的なものを拾いあげ,線形代数の顔をあらわにしながら,あわせて線形代数の用語やルールを説明していこうと考えました。
ヤング盤の組合せ論: 非可換シューア関数入門

出版社 | 共立出版 |
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発刊日付 | 2025年7月3日 |
著者 | 岩尾 慎介 (著) |
本体価格 | 3,520円(税込)(本体3,200円+税) |
ISBN | 978-4320115859 |
対称多項式は数学の多様な分野で用いられる対象であり、その性質は代数方程式の解法や組合せ論に深く関わっている。対称多項式にはさまざまな種類があり、それらに名前を付けて整理するのにヤング図形が役立つ。
本書は、学部レベルの線形代数・代数学の知識を前提としてMacdonaldの教科書の内容を踏襲しながらも、余代数や双代数といった難解な部分に解説を加えることで、対称多項式の入門書を目指した。「解と係数の関係」として対称多項式に触れたことがある読者も、より広い応用を見つけることができるように工夫している。
本書のもう一つのテーマは非可換シューア関数の紹介である。重要なFomin-Greeneの定理を中心に、非可換変数でも従来の対称多項式理論と類似の構造が構築できることを示す。
格子グラフと確率モデル

出版社 | 日本評論社 |
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発刊日付 | 2025年7月23日 |
著者 | 今野 紀雄 (著) |
本体価格 | 4,290円(税込)(本体3,900円+税) |
ISBN | 978-4535790421 |
【目次】
第1章 [起] パス空間
第2章 [承] 格子グラフ
第3章 [転] 確率モデル
第4章 [結] 相転移現象
理工系のための入門数理統計学

出版社 | 東京図書 |
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発刊日付 | 2025年7月10日 |
著者 | 安部 公輔 (著) |
本体価格 | 2,860円(税込)(本体2,600円+税) |
ISBN | 978-4489024429 |
高度な数学は用いず、章立ては読者便宜を図り、できるだけ早く推定論に進むため、
標準的な本であれば前半で扱う内容を後半に回し、必要になったときに参照する形をとった。
また、数理統計学の教科書としてはRの実行例も多く取り上げているのが特徴になっている。
本書で取り上げられなかった内容は筆者のサポートページで補足しているのでご覧いただきたい。
代数的整数論序説 オイラーからガウスへ

出版社 | 現代数学社 |
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発刊日付 | 2025年7月21日 |
著者 | 高瀬 正仁 (著) |
本体価格 | 3,850円(税込)(本体3,500円+税) |
ISBN | 978-4768706701 |
応用されるベクトル・行列・行列式

出版社 | 現代数学社 |
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発刊日付 | 2025年7月21日 |
著者 | 田村 三郎 (著) |
本体価格 | 2,750円(税込)(本体2,500円+税) |
ISBN | 978-4768706725 |
推しアンモナイト図鑑

出版社 | 技術評論社 |
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発刊日付 | 2025年7月8日 |
著者 | 土屋 健 (著) |
本体価格 | 3,960円(税込)(本体3,600円+税) |
ISBN | 978-4297150181 |
1万種を超える多様性を持ち、日本には世界的な化石産地が数多く存在します。
そんな“アンモナイト大国”である日本で、第一線の研究者14名に取材し、「あなたの推し標本」「あなたの推し話題」という2つの問いを投げかけました。
本書は、その回答をもとに、研究者たちがどうしても紹介したい標本や、語らずにいられない話題を詰め込んだ、他に類をみないアンモナイト本です。
標本は“種”ではなく“実物”にこだわり、同じ種でも異なる推しが登場。
話題も、教科書的な内容から最新研究まで、多彩に盛り込みました。
生物物理学

出版社 | 丸善出版 |
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発刊日付 | 2025年7月2日 |
著者 | 高田 彰二 (著) |
本体価格 | 4,950円(税込)(本体4,500円+税) |
ISBN | 978-4621311479 |
本書は、京都大学での講義内容をベースに、それを発展させた内容を一部加えた、生物物理学の入門的教科書である。分子から細胞までのさまざまな現象を物理的・数理的にモデル化し、その振舞いを解説している。全体を通じて数式を用いた丁寧な説明を行い、基礎方程式からほとんどの数式を導出できるよう工夫している。
生命を構成する物質には、ミクロからマクロまで階層構造が存在する。本書はその階層に応じて、「第I部 状態論」「第II部 構造論」「第III部 細胞のシステム生物学」のIII部構成となっている。第I部は中間の階層にあたり、生体分子を少数の状態で記述し、状態間の遷移を簡単に計算することで、生体分子の構造・機能を理論的に取り扱う。2章の蛋白質の2状態モデルから始めて5章の生体分子機械論までの流れは本書の中心をなす部分である。第II部は、よりミクロな分子構造の階層を扱う。関連する物理学・化学の解説から、生体分子の構造や動態を、かなり物理学的に記述しており、生体分子の世界に興味のある物理・化学を志向した読者に向けたものである。原子・分子間の相互作用、生体分子のフォールディング、拡散や化学反応論の物理・化学を学ぶ。第III部は細胞スケールの、いわゆるシステム生物学を扱う。遺伝子発現制御の理論から電気生理学、シグナル伝達、代謝まで、内容は多岐にわたる。
予備知識として、高校レベルの生物学をウェブサポートページに、必要となる物理学を巻末補遺にまとめている。また読者への特典として、書籍内の問題の解答、数値解析のためのPythonプログラムをウェブサポートページにて提供する。
長年の講義をもとにまとめられた本書は、生物物理の幅広いテーマをカバーしており、生命科学・物理学・化学などを専攻する大学生~大学院生の講義用・自習用として最適の一冊である。
生成AIのプロンプトエンジニアリング ―信頼できる生成AIの出力を得るための普遍的な入力の原則

出版社 | オライリー・ジャパン |
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発刊日付 | 2025年7月9日 |
著者 | James Phoenix (著), & 7 その他 |
本体価格 | 4,840円(税込)(本体4,400円+税) |
ISBN | 978-4814401246 |
Async Rust ―高いパフォーマンスと安全性を両立するRustによる非同期処理

出版社 | オライリー・ジャパン |
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発刊日付 | 2025年7月16日 |
著者 | Maxwell Flitton (著), Caroline Morton (著) |
本体価格 | 4,180円(税込)(本体3,800円+税) |
ISBN | 978-4814401185 |
AI・ロボットからの倫理学入門

出版社 | 名古屋大学出版会 |
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発刊日付 | 2025年7月11日 |
著者 | 久木田 水生 (翻訳), 神崎 宣次 (翻訳), 佐々木 拓 (翻訳), & 1 その他 |
本体価格 | 2,970円(税込)(本体2,700円+税) |
ISBN | 978-4815812003 |
数理でひもとくAI技術の深化: ボルツマンマシンとたどる最先端への道

出版社 | コロナ社 |
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発刊日付 | 2025年7月4日 |
著者 | 恐神 貴行 (著) |
本体価格 | 2,860円(税込)(本体2,600円+税) |
ISBN | 978-4339029512 |
本書は、2024年のノーベル物理学賞の対象となったホップフィールドネットワークやボルツマンマシンとは何かを知りたい方、そしてその理解を足がかりに、現代の人工知能技術の最前線に触れたいと考える読者を対象としています。前提となる知識は可能な限り抑えており、理系の大学生程度の数理的素養があれば読み進められるよう配慮しています。一方で、情報科学・人工知能・物理学など各分野の専門家にとっても、新たな視点が得られる内容を目指しています。
【書籍の特徴】
本書の最大の特徴は、ボルツマンマシンを軸として、さまざまな分野についての議論を展開している点にあります。機械学習、統計力学、計算量理論、最適化、量子計算、確率過程など、幅広い分野にまたがる内容を扱いつつ、それぞれの要点を押さえ、共通する構造や相互の関連性が自然に見えてくるように構成されています。
各章は基本的な概念から始まり、場合によっては最先端の研究成果にまで踏み込んだ議論を行います。難解な内容については、あえて一般性を犠牲にし、特別な場合に絞って丁寧に解説することで、直感的な理解を助けます。また、数式なしでは捉えきれない概念は、数式を積極的に用いながら、その背後にある意味や現実との対応関係を日本語で丁寧に説明し、読者の理解を深めることを目指しています。
統計的テキストモデル──言語へのベイズ的アプローチ (確率と情報の科学)

出版社 | 岩波書店 |
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発刊日付 | 2025年7月1日 |
著者 | 持橋 大地 (著) |
本体価格 | 5,060円(税込)(本体4,600円+税) |
ISBN | 978-4000069762 |
Pythonで実践する時系列予測の基礎: 理論とビジネス応用

出版社 | オーム社 |
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発刊日付 | 2025年7月28日 |
著者 | 髙橋 威知郎 (著) |
本体価格 | 3,960円(税込)(本体3,600円+税) |
ISBN | 978-4274233753 |
本書は、時系列予測の理論とPythonによる実装を体系的にわかりやすく解説します。時系列データ分析が未経験でも通読できるよう、基礎となる数学から始め、ビジネスや研究の場で実践するためのスキルが身に付くよう丁寧にフォローします。
ビジネスの現場では、データに基づく意思決定が重要視され、特に時系列データ分析は、売上予測や需要予測、在庫最適化など、多くの領域で活用されています。そうした時系列予測の理論と実践を学ぶために必要な知識を、本書の活用によって身に付けることができます。
ネアンデルタール人再発見: 科学が再構築した新しい人類史

出版社 | 創元社 |
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発刊日付 | 2025年7月17日 |
著者 | ディミトラ・パパギアーニ (著), マイケル・A・モース (著) |
本体価格 | 5,280円(税込)(本体4,800円+税) |
ISBN | 978-4422430669 |
本書には、魅力あふれる「私たちホモ・サピエンスの親戚」に関する最先端の研究が紹介されている。たとえば、現生人類や最近になって発見されたデニソワ人との交雑について、彼らの社会的行動について、そして私たち自身の健康にも影響を及ぼしている可能性のある彼らから受け継いだ遺伝子について、などだ。私たちとネアンデルタール人の相違点と類似点を直視することで、本書は「ヒトであるとはどういうことか」という人類最大の疑問に取り組んでいるのである。