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<学生団体>10-11月のおすすめ本

(1)Pythonによる制御工学入門 南裕樹 著
▶ISBN:9784274223907
▶出版社:オ-ム社
▶本体価格:2,600円

私たちが住むこの世界の物理現象は私たちが利用しやすいようにはできてはいない。不安定なものは倒れ、燃えるものは燃え尽きるまで燃え、速い物は急には止まらない。これらを扱いやすく変えること、それが制御です。

 この本には登場人物がおり、姉である「きなみ」が制御工学に詳しい妹「みゆう」に制御工学を教わるという設定で進行します。この二人の会話やイラストが本の随所に登場し感覚的理解を助けてくれます。その分通常の解説書に多い数式メインで解説が抑えられており、とても読みやすく構成されています。しかし、この本の最大の特徴は全編においてpythonで可視化しながら解説されていることです。pythonは数多くのライブラリがあり今人気のプログラミング言語のひとつです。私も使ってみましたが、とても分かりやすく、目に見えて制御対象の特性が改善されていることがわかりました。pythonを使うために必要な準備や基本的な文法などの解説も収録しているため、プログラミング経験のない方でも安心です。内容は制御工学の基本をカバーしており、古典制御から現代制御、ロバスト制御まで解説されているため、初めて制御工学を学ぶ人にお勧めの一冊です。

 

(robohan 工・機械)


(2)われはロボット 決定版 アイザック・アシモフ 小尾芙佐 著
▶ISBN:9784150114855
▶出版社:早川書房
▶本体価格:840円

この本の最初には以下のロボット工学の三原則が書かれています。

・第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。

・第二条:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。

・第三条:ロボットは、前提第一条および第二条に反するおそれの無い限り、自己をまもらねばならない。(一部省略)

 これらは今日ロボットに関わる倫理、哲学を語るうえで必ず登場するものとなっています。

 この作品は上記の三原則を題材とした短編集から成っており私は特に8作目の『証拠』という話を読んでいてはっとさせられました。この物語のあらすじは、ある市長選において立候補者がロボットではないかという疑いがかけられ、どうにかしてそれを証明しようとする…といったものです。はたして、人間と完全に一致する外見を持ち、非常に高等な電子頭脳を持ったロボットがいたとして、それを人間と区別することはできるのでしょうか?

 Robotの語源からわかるように「ロボット」は本来人間の仕事を代行する「労働機械」です。ところが「思考する機械」としてロボットをとらえ、人間とその動作を比較したとき、私たちは間接的に「人間とは何か」について考えることになります。この本はそれについてさまざまな場面から小説の形で疑問を呈しているのです。

 ぜひこれを読んで「人間」について考え直してみてほしいと思います。

 

(robohan 工・電情)

(3)火星の人 上 新版 アンディ・ウィア- 小野田和子 著
▶ISBN:9784150120436
▶出版社:早川書房
▶本体価格:640円

 「火星にたった一人で取り残されたとき、どうやって生き延びるか?」そんな突拍子もない物語がこの作品です。有人火星探査ミッションのクルーである主人公マーク・ワトニーは猛烈な砂嵐によるミッション中止において火星を離脱する際、折れたアンテナの直撃とともに吹き飛ばされてしまいます。奇跡的に一命をとりとめたものの、彼の意識が戻ったのは他のクルーたちが既に火星を離脱してしまった後でした。残された資材を使い、植物学者でありエンジニアでもある彼は自身の知恵を総動員してなんとか生き延びようと試みます…。

 火星で生き残り、なんとかして地球に帰ろうとする主人公の奮闘が主人公の一人称視点でユーモア満載に描かれている物語です。興味深いのはこういった小説でよくありがちな「ご都合主義」の展開は無く、物語の背景や起こる出来事などが全てリアリティをもって描かれているところでしょう。

 また、残された資材から主人公が生き残れるような環境を作り出していく様は技術者を志す者として非常に憧れるものでした。知っていることをうまく組み合わせ、使えるものは(たとえ糞尿であろうがRTGであろうが)すべて使って何かを作り出し、状況を変えていく主人公はまさにエンジニアそのものといえるでしょう。

 この作品は2015年に映画化もされています。(「オデッセイ」というタイトルであれば聞き覚えがあるかもしれません。)一度手に取って読んでいただきたいと思います。

 

(robohan 工・電情)


(4)イラストで学ぶ ロボット工学 木野仁 谷口忠大 著
▶ISBN:9784061538344
▶出版社:講談社
▶本体価格:2,600円

 この本1冊で制御法から構造に至るまでロボットの基本事項を網羅しています。

 多くの章が物理の説明から入り、その制御法を詳しく解説しています。また、理論や式は高校数学を一通り終えていれば理解できるような丁寧な解説がなされています。いずれの章においてもホイールダック2号(本書で登場するキャラクター)の絵で具体的な説明が添えられており、要所にはグラフもあるので非常に読みやすくなっています。

 ロボットに興味がありこれから勉強したいという人も、すでに勉強している人も楽しく基礎から学べる本だと思います。

 

(robohan 工・応理)


(5)やわらかいロボット 新山龍馬 著
▶ISBN:9784760893935
▶出版社:金子書房
▶本体価格:2,300円

 硬い体に硬い歯車を持ち、動きはどこかぎこちない… そんな“かたい”ロボットとは一線を画す、“やわらかい”ロボットの世界への入門書的な一冊。

 本書では、やわらかいロボットを作り上げるための素材、身体の構造、そしてその制御に至るまで網羅的に紹介されている。そしてそこには、ドラえもんの手のように何でも掴んだり、タコの触手のようにからみついたり、人間のように軽快に走ったり、好奇心を刺激するたくさんのロボットが登場する。

 ロボットを通して生物のやわらかさの秘密を解明しようとする著者が、読者を未来のロボットの世界に招待する。 

  

(robohan 基礎工・シス科)


▼ 2021年10-11月の担当学生団体 ▼
大阪大学ロボット製作団体 Robohan


2006年発足
私たちRobohanはNHK学生ロボコン優勝を目的に活動している団体です。毎年変わるルールにそって、機構・制御・回路で力を合わせてロボットを製作しています。近年では7大会連続出場を果たしており、2017年と18年には特別賞をいただいています。ロボットや工作、ロボコンに興味があれば大歓迎、HANDAIクラフトベースを見に来てください。ロボコン優勝を目指して一緒にロボットを作りましょう!
Twitter:@Robohan_  HP:https://www.robohan.net/



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